0.1mm単位での設計及び加工。薄型財布の開発を通して見えてくる極薄と強度の境界線

「薄い財布」を設計する際、構造と並んで最大の壁となるのは素材の厚みです。一般的な財布では1.0mm〜1.5mmの革が使われる事が少なくありませんが、これをそのまま重ねて縫い合わせれば、それだけで1cm~2㎝以上の厚みになってしまいます。

Tenuis第3、4世代、Tynd等のコンパクトウォレット製作においてたどり着いた一つの基準は山羊革を0.5mmに漉き加工する事です。これより厚いと柔らかさが失われ、薄いと強度に影響するので0.5mmを基準としています。外面の牛革は山羊革の特性とまた違うのと、用途が違うので基準は0.8㎜となります。こちらも強度や質感を保ちつつ柔らかさと薄さを実現しています。大した数に聞こえませんが0.1㎜毎に特性が大きく変わります。

Tenuis全牛革版は山羊革版と違う方向性を追求しているので内側0.8㎜、外面1.4㎜、と基準が変わります。このモデルは山羊革の様に伸縮性を利用してカードを入れたりする機構では無い代わりに、張りのある牛革で立体的なカード入れを設計しています。

これらを制作するにはコバやヘリと言ういわゆる素材の端部分を寸分狂わず丁寧に重ねて貼り付けたり、すでに縫い付けた部品を敢えて曲げてよけながら縫製しないといけない部分さえあったりと、簡単ではありません。これは工場では敬遠されるほど、職人でも慣れていないと大変手間と時間のかかる作業です。

単に薄い素材を用意して適当に縫い合わせるなら特に技量は問いません。しかしイタリアンレザーや山羊革の特性や質感を残しつつ、設計通りの機能をしっかり働かせる、毎日過酷に使い込んでも壊れない堅牢さを両立させる。その境界線を見極めるために費やした10年以上の試行錯誤の結晶が、これらの財布には詰まっています。


Tenuis第4世代
https://solahanpu.com/products/tenuis-fourth

Tenuis第3世代
https://solahanpu.com/products/tenuis-third


Tenuis全牛革版
https://solahanpu.com/products/tenuis-bg

Tynd
https://solahanpu.com/products/tynd-cv

กลับไปยังบล็อก