SOLAHANPU「薄い財布」Tenuis第1世代と第2世代の薄いコンパクト財布には、財布全体を閉じるための「ゴムバンド」を取り入れていました。

今になって客観的に振り返れば、ゴムはどうしても経年劣化で伸びてしまうという耐久性の問題など、良い部分ばかりではなかったかもしれません。ミニ財布・コンパクト財布の市場が成熟し、ユーザーの求める実用性の基準も上がった今となっては、私たちSOLAHANPUもすでにこの仕様は採用していません。しかし、当時のこのデザインには、理由とこだわりがありました。
そのインスピレーションの源は、イタリアの有名なノートメーカーである「モレスキン(MOLESKINE)」にあります。
当時、私自身が愛用していたモレスキンのノートには、開きを固定するための上品な黒いゴムバンドが付いていました。モレスキンの魅力は、無駄のない洗練されたミニマムな佇まい(デザイン)、使い勝手や、独特の書き心地など、道具としての完成度の高さにあると思っています。手にするだけでどこか知的な高揚感を覚える、あの「文具としての優雅さ」を、毎日ポケットに入れて持ち歩く財布というプロダクトにも落とし込みたい。そう強く思ったのが採用のきっかけでした。
本来、ノートという「文具」と、お金を管理する「財布」は、まったく違う方向性を持ち、役割も異なる道具です。しかし、だからこそこの2つの要素を組み合わせることで、今までにない新しい美学を持ったミニマル財布が生まれるのではないか、という面白い挑戦でもありました。
現実的な利便性や耐久性を追求した結果、今後のプロダクトでゴムバンドを再び使用することは恐らくないかもしれません。ですが、あの当時の試行錯誤と参考課程があってこそ、今の洗練されたTenuisの形にたどり着いたのだと感じています。
これからも、ただ「薄くて機能的な財布」を作るだけでなく、モレスキンのように道具として完成度が高く、持っているだけで愛着が湧くような、あの「文具が持つ独特の魅力」をどこかで取り入れていきたいと考えています。それは単にゴムバンドのような分かりやすいパーツとしてではなく、佇まいや手触り、プロダクト全体の醸し出す空気感も含めてです。
かつての試行錯誤を大切にしながら、SOLAHANPUはこれからも「道具としての機能美」を静かに追求し続けていきます。


